東京高等裁判所 昭和40年(く)147号 決定 1965年12月20日
申立人 三宅清
決 定 <申立人氏名略>
被疑者松下照雄に対する公務員職権濫用被疑事件につき、昭和四〇年一二月一一日東京地方裁判所がなした刑事訴訟法第二六二条の請求を棄却する決定に対し右申立人から抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告理由は、るるいつているが、結局原決定の刑事訴訟法第五三条の解釈、適用に誤りがあるという旨の主張に帰する。
しかし、刑事訴訟法第五三条は、裁判の公開主義を拡充したもので、原則として何人も「被告事件」の終結後は、訴訟記録を閲覧することができるものとしたものであつて、訴訟記録の公開が要求されるのは、「被告事件」のそれにかぎられる。たとえば告訴のあつた事件を含む被疑事件および準起訴手続の各記録は、本条の適用を受けない。それゆえ、刑事訴訟法第五三条の解釈につき、前記と同趣旨の判断をして、申立人の本件請求を棄却した原決定には、所論のごとき違法はないばかりでなく、本件審判記録を精査しても、同決定に、不当とすべき事由を見出すことができないから、本件抗告は理由がない。
よつて、刑事訴訟法第四二六条第一項により主文のとおり決定する。
(裁判官 小林健治 遠藤吉彦 吉川由己夫)